軍事切手とは
2023年03月21日
軍事切手とは、軍から出されている郵便物の全体を把握しやすくなるために貼り付けられた切手のことを指します。
月に数枚配布されることが一般的で、利用する時には封書として用いられる傾向が高いとされています。
基本的には重量便に利用されることはありませんでしたが、特例として許されることもありました。
現在はインターネットなど別の通信手段が発達したことにより、軍事切手は廃止されています。軍や自衛隊が軍事切手をわざわざ発行する意味そのものが失われたためです。
18世紀のヨーロッパでは、戦争に参加している将兵の手紙は特別仕立ての馬車によって運搬されていました。しかし、1831年まではこの仕組みは制度として確立していませんでした。
1831年に軍事郵便が制度として確立すると、戦争中の時期以外でも将兵の間で郵便を出すことが可能になりました。軍事切手はその手紙が軍事郵便として出されたことを示すために生み出されたものです。
軍事切手は当時使用されていた普通切手に、軍事郵便を意味する文字を加刷することによって作られました。このスタイルの軍事切手はフランスや日本でも取り入れられましたが、加刷ではなく軍事郵便を意味する表記をデザインした切手を新たに製造する国もあります。
日本で軍事郵便制度が始まったのは、1894年の日清戦争からです。
最初の軍事切手が生まれたのはそれより後で、1910年からになります。1910年までは将兵は郵便物をいくらでも無料で出すことが出来ましたが、政府は軍事切手を配布することによってその分だけ無料で郵便物を出せるようにしました。
軍事切手は無料で、軍事郵便を利用できる量を計るために生み出されました。軍事切手によって出せる数を管理するやり方は、軍部の力が強くなった昭和初期以降は有名無実化して自然に消滅していきました。