航空切手の種類
2023年03月21日
日本で航空切手が発行されていたのは限られた期間ではありますが、航空切手にもいくつかの種類がありました。
同時期に発行された同じモチーフの航空切手であっても、値段によって色を分けて発行されたものです。以下に、主な航空切手の種類を紹介します。
芦ノ湖航空切手(1929年発行)
18世紀のヨーロッパでは、戦争に参加している将兵の手紙は特別仕立ての馬車によって運搬されていました。しかし、1831年まではこの仕組みは制度として確立していませんでした。
1831年に軍事郵便が制度として確立すると、戦争中の時期以外でも将兵の間で郵便を出すことが可能になりました。軍事切手はその手紙が軍事郵便として出されたことを示すために生み出されたものです。
軍事切手は当時使用されていた普通切手に、軍事郵便を意味する文字を加刷することによって作られました。このスタイルの軍事切手はフランスや日本でも取り入れられましたが、加刷ではなく軍事郵便を意味する表記をデザインした切手を新たに製造する国もあります。
きじ航空切手(1950年発行)
戦時中は発行が中断されていた航空切手ですが、終戦5年後である1950年にきじ航空切手が発行されました。きじ航空切手は、鳥であるきじが羽を広げた絵柄の航空切手です。
草むらから飛び立ったきじの姿にスポットライトが当てられ、希望のあるデザインになっています。日本で発行された航空切手では唯一、航空機をモチーフにしていない航空切手です。
きじ航空切手には5種類の額面があり、16円が緑、34円が紫、59円が赤、103円が黄色、144円が灰色という色分けになっていました。額面は当時の航空郵便料金に合わせたものです。
きじ航空切手は、戦争によって中断されていた航空郵便制度が再開できたことにより発行されたという意味で、記念すべき航空切手と言えます。
五重塔航空切手(1951年発行)
1951年に発行された五重塔航空切手は、五重塔の上空を飛行機が飛んでいる絵柄の航空切手です。背景には何も描かれておらず、空の高さを感じられるデザインになっています。
五重塔航空切手の円単位のものには5種類の額面があり、15円切手が紫、20円切手が青、25円切手が緑、30円切手が赤、40円切手がモノクロという色分けがなされていました。
五重塔航空切手には銭単位のものも存在するとされています。
立山航空切手(1952年発行)
五重塔航空切手の次に、立山航空切手が発行されました。立山連峰の上を飛行機が飛んでいて、その様子を斜め上から見下ろすように描かれたデザインです。
近代的なイメージの絵柄になっています。立山航空切手の円単位のものには6種類の額面があり、55円が青、75円がオレンジ、80円が赤、85円がモノクロ、125円が茶色、160円が深緑という色分けになっていました。立山航空切手には銭単位のものも存在するとされています。
大仏航空切手(1953年発行)
最後の航空切手となったのが、大仏航空切手です。鎌倉のものと見られる大仏のはるか上空を飛行機が飛んでいて、遠く富士山の影が映っているデザインです。
大仏航空切手には4種類の額面があり、70円が赤、80円が青、115円が黄緑、145円が深緑という色分けになっていました。
航空切手としては最新のものであるだけに、家庭にある切手帳の中などに保存されている可能性が考えられます。